今月2回目の宝塚遠征。
バウホールの『月の燈影』を観てきました。
私は歌舞伎も世話物が好きで、江戸の匂いが感じられる芝居が好きですが、この『月の燈影』は大川の匂いがしてくるような、そんな舞台でした。
主演の礼華はるは和物に新境地を拓いた感があり、幸蔵を型できちんと見せていたように思います。
そしてW主演と言っても過言ではない彩海せらの次郎吉。
さすが和物の雪組で育っただけあると唸りました。
着物の着こなしも1番だった気がします。
私的には大野拓史先生の作品では文句なく1番いいと思ったし(初演は未見)、見直したというか、なんと言うか…(^^;;
バウホールへ遠征した甲斐はありましたし、見逃した方には25日の配信をご覧いただきたい!と思いました。
ここから先はネタバレもあります。
これからご覧になる方、何も知りたくない方はここまでで。
ピンスポを浴びて舞台に登場する礼華はるは『かまわぬ』文様の着流しで。
鎌、輪、奴の三文字で『構わぬ』と読ませます。
もともとは元禄時代の町奴が『火も水も厭わず身を捨てて弱き者を助ける』という心意気を表して流行させた文様ですが、七代目市川團十郎が復活させて成田屋の文様としても有名です。
幸蔵が登場しただけで、弱き者を助ける人なんだろうと察しました。
その幸蔵の幼なじみで町火消しの次郎吉を彩海せら。
この舞台の恋愛担当、笑いも担当していて、次郎吉もいいお役でした。
クライマックスは泣けて泣けて。
巧かった。
深川富岡八幡宮を根城にしている幸蔵の手下(通り者)の空城ゆう、大楠てら、彩路ゆりか、月乃だい亜、槇照斗も川向こうの匂いがしました。
次郎吉が想いを寄せる芸者・喜の字に天紫珠李。
色気はないけど気風のいい芸者でした。
その弟・新助に一輝翔琉。
応天の門の新公・在原業平はありゃりゃ…と思いましたが、この新助は若さが生きていました。
大きなお役をモノにしてました。
淀屋辰五郎、通称・淀辰は川向こうを仕切る裏社会の頭です。
その淀辰に曲者を演らせたら宝塚一の夏美よう。
淀辰の妾にして様々な悪事を手伝う文字春に天愛るりあ。
あまりの色気とねっとりした悪女ぶりに最初誰だかわからなかった…
最優秀助演女優賞です!
巧い!
天愛るりあも新境地を拓いたと思います。
話のオチが大泥棒なのですが、そういえば序盤で鼠小僧を捕縛したとか言っていたな、と思いました。
もう1回観たいけど、配信の日はシアターオーブなので観られない…
最後にぱるくんからだけ手拭い撒きがあります←1本だけ
広げたままで投げるので、コントロールは出来ないと推察しました。
一応ポスターの顔部分にモザイク処理しました^^;
私は隅田川の近くの下町で育ったのですが、母がいつも川向こうには行ってはダメとそれは厳しく言っていたので大学生になるまで橋向こうには渡ったことがありませんでした←行ってみたら、全く怖くないところでした!
母が生きていてこの芝居を観たら、ほらね、川向こうは怖いところだったんだ、と言うのかな…と思いながら観てました。
川向こうの匂いを感じるような、そんな舞台でした。
よろしくお願いします。