黄砂に負けずPARCO劇場へ。
それにしても渋谷は外国人多数で大混雑。
駅前のスクランブル交差点で皆さん撮影していて、きっと私も世界のどこかに顔を晒すのだろうなぁ…ああ、嫌だ…
ストプレですし、子どもを亡くした夫婦の話で、暗くて重いのだろう…と思ったのですが、『鎌倉殿の13人』の実衣をはじめ『おちょあん』でも存在感ありありだった宮澤エマ初主演ということで、どうしても観たくなり行ってきました。
夫が成河、母がシルビア・グラブ、妹が土井ケイト。
つまらないわけ、ありませんよね?
舞台美術も凝っていて、素敵でした。
幕開きに転がるボールで、絶対クオリティー高い舞台やん、と確信。
会話劇ですが、芝居巧者が揃っているので、その間も言葉も実に自然でした。
重いテーマでしたが、クスッと笑ってしまう台詞やグッと刺さる台詞もあって、あっという間でした。
何度か涙がこぼれそうになりました。
私のまわりで、このブログをしていることを知っている人は1人しかいないので書きますが、私は25年ぐらい前に流産を経験しています。
初めての子でしたし、待ち望んだ子でしたので、腕に抱いてもいないのに大変にショックで、その悲しみは母を失った時と同じぐらいに大きく、しばらく仕事復帰が出来なかったほどでした。
もし、一度でもこの手に抱きしめた子だったら…正気ではいられなかったかもしれません。
四半世紀経ってもう大丈夫と思ったけれど、まだ傷跡を触れば少し痛く感じました。
このラビット・ホールは可愛い盛りの息子を亡くした喪失感が痛いほどで、母のベッカ(宮澤エマ)はもちろん、父のハウイー(成河)の悲しみも大きく…
時間がかかっても再生できる、未来がある、と思えたことがとてもよかったです。
劇場に到着してアフタートークがあることを知りました。
そうとは知らずチケットを購入しました。
宮澤エマ、シルビア・グラブ、土井ケイトが登場。
今まで経験した中で一番まとまっていた私好みのトークショーでした。
自己紹介に好きな寿司のネタを言うという発想も面白かった(^^)
ちなみ土井ケイトはウニ、シルビア・グラブはぼたん海老、宮澤エマは赤貝でした。
なんか、どういう人かわかる気がした(笑)
この作品を演るにあたり、翻訳会議というのがあって、英語原作の翻訳が現代でおかしくないか?とか、どんな言葉を選ぶか?を出演者全員で大学生のようにディスカッションしたそうです。
ベッカがstep on shit のような人生と言う台詞を『クソ』なのか、『ウンチ』なのか、『うんこ』なのか、を悩み宮澤エマ自身が『うんこ』を選択したらしいのですが、観劇されたM谷先生は「あれはウンチだろう」とおっしゃったとか。
言葉を大切にされるM谷先生だから悩んだけど今も『うんこ』で通していると。
「皆さまはどれがいいですか?」とアンケートを挙手で取ることになり、圧倒的に『うんこ』だったことをご報告させていただきます(笑)
また、母ナットの台詞もbrickを小石と訳してあったけれど、小石ほど軽くないと『レンガ』にしたとシルビア・グラブが言ってました。
会話劇だからこそ言葉を大切にしている藤田俊太郎氏の演出に感銘を受けました。
藤田俊太郎氏の演出は何作も観ていますが、今回が1番好きかもです。
開場50周年を迎えたPARCO劇場に相応しい良質な舞台でした。
アフタートークを聞いて、もう一度台詞を噛み締めたくリピートしたいけど、時間がない…
チケットあるみたいです。
おすすめです。
こういう舞台に出会えるから観劇修行はいと楽し、です。
25日まで PARCO劇場
秋田、福岡、大阪公演もあります。
よろしくお願いします。