本日東京千秋楽です。
『赤と黒』は宝塚でも度々上演されますし、直近では星組が『Le Rouge et le Noir〜赤と黒〜』が記憶に新しいところ。
もちろん原作はスタンダールだし、直近の星組とは元のフレンチロックは同じですから音楽も同じなんですが、演出が違うとここまで別物になるんだ…と思いました。
甲乙付け難い…のですが、あまりにも違うものでしたから感想を。
宝塚はスターシステムですし、トップスターありきなのでジュリアン・ソレルの比重が重くなるのは仕方ない…曲が多いのも礼真琴だったし、歌はよかったし…
衣装が豪華で、セットも美しく、演出の若谷先生の美意識満載でした。
耽美系?とでもいうのか、でも質が高い舞台でした。
今回の梅芸バージョンは舞台美術はほぼなし…で、照明(懐中電灯も)の使い方で見せていたし、衣装は地味で着たきり1枚(笑)
主役のジュリアン・ソレルが三浦宏規、『レミゼ』のマリウスです、歌は礼真琴の方が上手いのですが、野望を内に秘めた繊細なジュリアンが非常によかった!
触ると冷たそうなジュリアンでした。
そして、『赤と黒』のキーパーソンレナール夫人の夢咲ねねが秀逸でした。
貞淑な妻だけど、夫に嫌気がさしていて、家庭教師のジュリアンを愛して、裏切り、壊れてしまうレナール夫人を余すことなく表現していました。
ねねちゃんは宝塚時代、柚希礼音の隣りにいるスタイルお化けのバービー人形ぐらいの認識だったのですが、卒業後に女優として目を見張る進化を遂げていると思います。
OG公演だった『8人の女たち』で、蓮っ葉なメイドを好演していて、私はこの舞台で1番いいと思いました。
今回のレナール夫人も本当によかった!
ミュージカルでもストプレでも需要は高い気がします。
色々な顔をもっと見せて欲しい。
ちなみにカーテンコールで並んだ時に姿勢が美しく、気品が漂ってました。
衣装は着たきりの修道服みたいなドレス1枚でしたが、元宝塚のトップ娘役としての輝きは失っていなかった。
後に進む娘役の道標になると思います。
ますますのご活躍を楽しみにしてます。
マチルドが田村芽実。
『ダ・ポンテ』以来です。
歌も踊りもビジュアルも宝塚版の詩ちづるが上だし、衣装も宝塚版の方が可愛かったのでが、マチルドとしてはこちらだった…
高慢チキで押し通した詩マチルドと違い、色々な表現が細やかで、特にジュリアンが捕まった後のマチルドがとてもよかったと思います。
ミュージカル俳優として、ダ・ポンテとは比べものにならない進化ぶりにも驚いた。
ムッシュ・ヴェルノが駒田一。
『ミス・サイゴン』のエンジニアが揃ってご出演で、悪い訳がありません。
ヴェルノはどこまでも嫌な奴でした。
ジェロニモは暁千星が2幕始めに客席に絡んでいましたが、同じく東山義久も。
控えめでしたが、ぐっときた(笑)この方、渋くてカッコイイ!
人によって感じ方は様々だし、宝塚ファンとしては悔しいけれど、先が宝塚でよかったと思ってしまった…
梅芸版『赤と黒』観てよかったです。
配役がなぁ…と思った私を叱りつけたい^^;
チケットあるみたいですから、大阪公演ぜひぜひ。
よろしくお願いします。